設立趣意書

 これまで異文化教育オンラインフォーラム、異文化情報ネクサス研究会、異文化間情報ネクサス学会の名の下で活動して参りましたが、このたび名称および体制新たに『異文化間情報連携学会』を設立することになりました。敢えて異質な世界に身を置く研究者を主構成員とすることで、互いの研究視点に「ヘルシーフリクション」(健全な摩擦)を生じさせ、結果として自らの専門性を深化させることで社会貢献を果たすのが狙いとなります。幸い、学会理念に共感いただき、英語教育、フランス語教育、韓国語教育、日本語教育、英文学、言語学、ビジネスコミュニケーション、経営学、教育政策、情報教育、情報科学、情報社会論、異文化コミュニケーション論、哲学、看護学、運動生理学、スポーツマネージメント、物理学、脳科学と、幅広い分野に跨る研究者を迎えて今日に至っております。『異文化間情報連携学』という新たな研究領域確立のため、今後は、さらに多様なキャリアを有する方々をも迎えて、よりダイナミックかつダイバーシティに富んだ議論と活動を行ってゆく学会にすべく尽力する次第です。

 昨今、若い研究者の学会離れが進んでいることは周知の事実です。しかしながら、当学会では、毎年右肩上がりに若手研究者の入会が増え、実に喜ばしく思っております。その背景のひとつとして、当学会が敢えて異ジャンルに身を置く研究者および多様な経験を積まれてきた一般社会人の方々を迎えることで、ヘルシーフリクションを起こしながらも「相互に理解し合える意味の共有点」を模索し、結果としてこれが研究上の重要な問題解決のアプローチに繋がっているという知見が魅力となっているものと信じて疑いません。「異文化」(異なる研究分野・環境)に身を置く会員が相互に、異次元からの発想法を取り込みながら自らの専門性を逆に深めてゆくことを狙った当学会の理念は、これまでも一度たりとも揺らいだことはございません。これまでの定例研究会および年次大会における学会発表で、研究発表者の発表にあっては時間厳守を徹底しながらも、質疑応答はときに10分以上の延長も是としてきたのは、まさにそのような意図に由来しています。

 「鳥の目、虫の目、魚の目」という言葉がありますが、研究の発展に多様な視点から導きだされる意外性への着眼は不可欠と言えます。私たちは、学問の閉鎖性に敢えて風穴を開けるべく異分野の発想に耳を傾け、さらに自らの知見に常に斬新かつ意外性ある視点を付与することで学術研究を深化させながら、社会還元を目指すことを旨とし、ここに異文化間情報連携学会を設立する次第です。

2018年11月1日
役員一同